研究内容

日本での医療専門職や医療者を目指す学生のワクチンリテラシーを醸成する基礎教育プログラムの確立を目指しています

ワクチン接種のためらいや拒否は、近年、世界中で最も重要かつ議論の多い問題の一つとなっています。2019年世界保健機構が発表した「世界的な健康に関する脅威」のトップ10のうちの1つにVaccine Hesitancy(ワクチン忌避)が挙げられました。日本は世界の中でもワクチンへの信頼度が低い国の一つです。

ワクチン忌避には歴史的・文化的背景があり(Opel,2015)、世界的に有効な手段は限られますが、その中で確実に有効性が証明されているのが「医療者への教育」とされています。特に、予防接種に関して従来実施されている医療系の専門基礎教育では、予防接種の法的根拠、臨床情報や接種時期、適切な投与方法など教授されるものの各教育施設に裁量が委ねられ、ワクチン忌避への対応やコミュニケーショントレーニングを系統的、包括的に学習する機会が十分ではなく、医療者がワクチン忌避に対応するための実践的な知識と技術を教授する機会は作られていないと考えられます。学生の時期から専門基礎教育の中で学術的なアプローチを確立することで、ワクチンリテラシーを高めることができ、ひいては被接種者へのワクチン忌避に対応できる人材の育成をめざしています。